メスカルの製造工程

マタトランでは、アガベを育てることが私たちの生き方そのものです。

マゲイの収穫

良いメスカルの風味は、アガベの品質と適切な熟成にかかっています。El Cortijoでは、長年の経験から、最高のメスカルの味わいを引き出すには、アガベが理想的な年齢に達している必要があることを知っています。例えば、エスパディンアガベの場合、熟成は8〜10年かかり、テペスタテアガベの場合は、最適な状態に達するまでに20年以上が必要です。アガベが植えられた土地の質、植物への愛情、そして時間とオアハカの太陽が、ゆっくりと私たちのアガベを成熟させていきます。それは、自然への敬意と忍耐を要する営みです。

収穫には、鉈(なた)、斧、つるはし、ナイフといった道具を使います。これらの道具を使いこなすのは、経験豊富で熟練した収穫者だけです。El Cortijoでは、すべてのアガベが適切な成熟に達していることを保証しています

蒸し焼き工程(コシード)

オアハカで伝統的なメスカル工房として知られる「パレンケ」では、マゲイは石で囲まれた地中の窯で蒸し焼きにされます。石は薪で600℃まで熱され、その熱を利用してマゲイをゆっくりと調理します。調理には季節(寒暖)やマゲイの量によって異なりますが、通常3〜5日かかります。この期間で、約4〜12トンのマゲイが調理可能で、1リットルのメスカルを造るのに平均して約7キログラムの薪が必要です。このゆっくりとした蒸し焼き工程により、マゲイは長年の熟成で蓄えた香りと風味を引き出し、それをそのままメスカルとして残します。

粉砕工程(ミル)

蒸し焼きされたアガベは、メスカル職人(マエストロ・メスカレロ)の判断により、石または木で作られた「カヌー型」や「タホナ式」の粉砕機にかけられます。この工程では、人の力、またはラバや馬といった家畜の助けを借りて、アガベから糖分を含んだ繊維を搾り出します。その搾汁は、果肉の発酵工程をより効果的に進めるための重要な役割を果たします。

発酵工程(フェルメンタシオン)

粉砕されたアガベは、サビーノ(メキシコ杉)の木桶に入れられ、自然発酵が行われます。糖分は水とともに溶け出し、人工酵母は一切使用されません。発酵期間は季節によって異なり、5日から15日ほどかかります。この工程は蒸し焼きと同様に非常に重要であり、メスカル職人(マエストロ・メスカレロ)は、長年の経験と感覚を頼りに、発酵の進み具合を見極めて最良の香りと風味を引き出します。もしモスト(発酵液)が適切な状態に達していなければ、酸味を帯びて失敗(アビナグラール)する可能性もあり、理想的な発酵は得られません。

蒸留工程(ディスティラシオン)

これはメスカル製造の最終工程です。発酵が完了したモスト(液)は銅製の蒸留器に入れられ、蒸留されます。最初の蒸留で得られるのは「シシェ」または「オルディナリオ」と呼ばれる曇った苦味のある液体で、アルコール度数はおよそ40度です。次の蒸留では、アルコール度数が55度から48度のメスカルが得られ、「頭(ヘッド)」「中身(ボディ)」「尻尾(テール)」の三つに分かれます。El Cortijoでは、このうち「中身(ボディ)」のみを使用しています。

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